【レポート】神奈川県内のユニークべニューを巡る

神奈川県は1月28日、県内のユニークベニューを巡る体験会「大山FAMツアー」をパシフィコ横浜による企画・運営のもと開催した。MICEのプレ・ポストツアー等で活用できる、県内コンテンツの広域連携を見据えて考案されたもので、今回は江戸時代以前からの名所でありながら、現在はテクニカルビジット先としても楽しめる“ユニークべニュー江戸”をテーマに3か所を訪問。その模様をレポートする。

鶴巻温泉 元湯 陣屋

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にも登場する武将・和田義盛公の陣地で、大正時代は三井財閥の接待施設として活用されていた「鶴巻温泉 元湯 陣屋」。18の部屋が約1万坪の広大な敷地に点在する。来年創業105年を迎え、これまで数々の将棋のタイトル戦が行われてきた老舗旅館でありながら、近年は到着した車のナンバープレートから、来客者を割り出して出迎えの準備を行ったり、宿泊した顧客一人一人の嗜好を記録し、次回のおもてなしに活用したりと、DXに積極的な経営姿勢が話題となっている。MICEでは地元有名企業の幹部会、役員会議などの開催実績を持つ。
今回は大宴会場「竹河の間」でおにぎり体験を実施。「海外の方がこの場限りでなく、帰ってからチャレンジできる和食体験を考えました」と宮崎知子代表取締役女将は話す。参加者は豊富に用意された具材から好みのおにぎりを作り、竹皮に包んで昼食用に持ち帰った。

竹河の間(129㎡)は会議等で活用できるスクリーン・プロジェクターが常設されている

大山阿夫利神社

現在もふもとに宿坊が残っている大山。ツアーでは解説を聞きながらケーブルカーの駅まで向かった

日本遺産に認定された“大山詣り”の舞台となる大山阿夫利神社は2200年以上の歴史を持つ。はじめに参加者は大山寺を参詣し、厄除け・開運の願いをかけて素焼きの器を目印の輪に投げ入れる「かわらけ投げ」を体験した。
大山阿夫利神社下社ではカフェ「茶寮石尊」を昼食会場として使用。茶寮石尊協力のもと特別メニューが提供され、参加者は陣屋で作ったおにぎりとともに水まんじゅうや大山名物のとうふを使った料理を堪能した。その後、大山阿夫利神社を参詣。大山には源頼朝が平家打倒のために太刀を奉納したことから、木刀を奉納する“納太刀”という風習がある。今回は伊勢原市観光協会が用意した木刀を奉納した。
大山寺、大山阿夫利神社下社まではケーブルカーが走っており、ケーブルカーは夜間限定で貸し切り運行することもできる。

大山阿夫利神社に展示されている巨大な納太刀

黄金井酒造

黄金井酒造

創業200余年の歴史を持つ酒蔵「黄金井酒造」では、はじめに黄金井陽介専務取締役が酒蔵に掲げられる杉玉について解説。その後参加者は蔵内を見学して「ワイングラスで美味しい日本酒アワード2021」で金賞を受賞した「清酒盛升」の製造工程を学べる映像を鑑賞した。黄金井酒造ではオリジナルラベルの作製ができる。今回のツアーオリジナルラベルも用意されており、特別に清酒の入った瓶にオリジナルラベルを貼る体験を実施。参加者は傾いたり、皺がよったりしないように慎重にラベルを貼り、記念品として清酒を持ち帰った。

大山名物のとうふを使った特別メニュー

ツアー企画を担当したパシフィコ横浜営業推進部の大村正英営業開発担当部長は「伊勢原市・厚木市・秦野市に接している大山を中心にツアーを展開することで、企画の目的であるMICE開催時の広域連携につなげたい」と話す。酒蔵訪問を例に挙げ、県内には歴史ある酒蔵が10か所以上残っていること、黄金井代表が神奈川県酒造組合の会長を務めていることから、大村氏は「今回の企画によって新たなつながりができた。今後、MICE開催時に訪問予定の酒蔵が見学できなくなった場合や大人数のため訪問先を分散させたい場合、別の酒蔵との協働体制がとれるようになる」と期待をのぞかせる。誘致推進課の関谷淳セールスディレクターも「行列ができるほど人気の茶寮石尊に対して『一部を貸切らせてほしい、おにぎりを持ち込む許可が欲しい、豆腐料理を出してほしい』という無理をお願いたが、交渉は我々だけではできなかったと思う。神奈川県や伊勢原市、伊勢原市観光協会の皆様との協力・連携することで茶寮石尊の理解を得ることができ、実現できた」と振り返った。
そのほか今回のツアーは渋滞の影響を受けやすいバス移動を想定したもの。そこで新たに開通した新東名高速道路(伊勢原大山IC)を活用したルートを選定するなど、会場の利用時間や食事の提供時間など、個人旅行と異なり、時間厳守で進行する必要があるMICEツアーを強く意識した工程が取られた。