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2013年の展示会、3大特徴からみる出展トレンド予想

2013年、国内で開催を予定している展示会は、608件にのぼることがわかった(出典:「2013見本市展示会総合ハンドブック」※)。この件数を、過去実際に開催した数と比較すると、前年比16.9%増・一昨年比21.6%増と右肩上がりになっている。

 

件数については、主催者へのアンケート調査で回答のあったもの、公式webサイトを開設しているものなどをカウントした。前提として、1.商談性の高い展示会、2.企業単独のプライベートショーは除くという条件のもと、把握した数字である。なお、同会期・会場で開催している展示会(以下同時開催展と表記)は、総称ではなく個別の名称ごとに、1件とカウントしている。特別展示コーナーなどはカウントしていない。

 

これを踏まえ、2013年の開催状況を詳しくみていくと、件数上昇の要因となる特徴は、以下の3つに集約される。

 

1. 細分化

2.  首都圏外での地域開催

3.  共催による新規展の立ち上げ

 

 

2013年開催増の要因1

細分化

 

新規展示会のなかでも、総合展の構成展示会として、または同時開催展として新たに加わったものは、次の通り。

-「クルマのITソリューション展」(1/16~18・東京ビッグサイト、「オートモーティブワールド」内)

-「東京デザイン照明展」(1/16~18・東京ビッグサイト、「ライティングジャパン」内)

-「ガールズジュエリー東京」(1/23~26・東京ビッグサイト、「国際宝飾展」等と同時開催)

-「Neo Ceramics 先端セラミックス&機能性ガラス」、「先進印刷技術展」、「試作・受託加工展」

(1/30~2/1・東京ビッグサイト、「nanotech」と同時開催)

-「マーケティング・テクノロジーフェア」(2/27~28・サンシャインシティ コンベンションセンター、「通販フェア」と同時開催)

-「国際風力発電展」(2/27~3/1・東京ビッグサイト、「スマートエネルギーWeek」内)

-「食品&飲料PB・OEMビジネスフェア」(4/3~5・東京ビッグサイト、「ファベックス」と同時開催)

-「メディカル&イメージングEXPO」、「宇宙・天文光学EXPO」(4/24~26・パシフィコ横浜、「OPIE’13」内)

-「通販ソリューション展」(5/8~10・東京ビッグサイト、「Japan IT Week春」内)

-「洋菓子素材EXPO」(5/15~17・東京ビッグサイト、「ifia JAPAN」内)

-「不動産投資EXPO」(5/24~26・東京ビッグサイト、「朝日住まいづくりフェア」と同時開催)

-「スマートコミュニティ展」、「植物工場・スマートアグリ展」、「次世代自動車展」(5/29~31・東京ビッグサイト、「スマートコミュニティJapan」内)

-「工場の近代化展」(9/25~27・東京ビッグサイト、「センサエキスポジャパン」と同時開催)

-「スマートハウス・エコハウス展」(10/23~25・東京ビッグサイト、「Japan Home & Building Show 2013」内)

 

 

 

クルマの電子化、電動化、軽量化の技術が集まる専門家向けの「オートモーティブワールド」に新設した「クルマのITソリューション展」には、車載情報通信機器・モジュール、ITS関連機器、ヒューマンマシンインターフェース、テレマティクスサービス等が集まる。クルマがインターネットに常時接続する「コネクティッド・ビークル」の普及に伴い、クラウドやSNS、M2MといったITソリューション・サービスのニーズの高まりを受け、展開。

 

「ガールズジュエリー東京」は、20~30代向けジュエリー、ハイアクセサリーの商談のための展示会で、年代別の嗜好を取り入れた。

 

応用分野に広がりをみせるセラミックでは、環境・エネルギー、電子エレクトロニクス、構造材料、生体材料分野などにフォーカスを当てた「Neo Ceramics」が、また、紙への印刷から3D・偽造防止印刷、加飾成形など高付加価値な表現、より環境にやさしい印刷を実現する技術、工業分野への印刷技術応用へと進化する「先進印刷技術展」が、そして、機能性フィルムや部材を生み出すために必要な加工技術を専門に提供する企業が集まる「試作・受託加工展」と、3つの新しい展示会が同会期にお目見えする。

 

「マーケティング・テクノロジーフェア」は、イギリスなど世界5か国では「TFM&A」としてすでに展開しているもので、デジタル、データベース、CRM、オンライン、ダイレクトの5つのカテゴリーにおける最新のマーケティングソリューションとマーケティング手法を紹介する。

 

 

「食品&飲料PB・OEMビジネスフェア」は、委託先と受託先を結ぶ食品と飲料に特化した展示会。

 

「メディカル&イメージングEXPO」は、光技術の「レーザーEXPO」の同時開催展。医療や福祉技術の分野においてはエレクトロニクス技術やロボット工学、IT技術等との融合による『メディカル・フォトニクス分野』が確立し、多種多様な先進的技術・装置・デバイスが開発されている。「宇宙・天文光学EXPO」は、「はやぶさ」の快挙をはじめ日本人宇宙飛行士たちの活躍、「すばる」から届く高精細な画像など、宇宙・天文光学への関心の高まりを受け新設されたもので、曲率センサー・シャック・ハルトマンセンサ・アクチュエータ・赤外線画像検出器・CCD検出器などの先端技術が出品される予定。

 

「通販ソリューション展」は、11ある「Japan IT Week春」の専門展のうちの一つ。

 

「洋菓子素材EXPO」は、乳製品・油脂・チョコレート・フルーツなど、洋菓子素材や製造技術関連が集まる専門展示会。昨年はベーカリー素材EXPOを初開催しており、今年から洋菓子も専門展として加わった。

 

「スマートコミュニティ展」、「植物工場・スマートアグリ展」、「次世代自動車展」は、次世代エネルギーがもたらす新しい街づくりの総合展示会「スマートコミュニティ展」の構成展示会。

 

「工場の近代化展」は、工場の誘致から地震災害対策技術、エネルギー、水、環境、生産管理まで、工場建設に係る最新情報を一堂に集めた展示会。

 

 

 

2013年開催増の要因2

首都圏外での地域展開

-「東北/防災・減災ソリューションフェア」(2/27~28・夢メッセみやぎ)

-「イベントJAPAN九州」(5/14~15・福岡国際会議場)

-「素材市場(大阪会場)」(5/29~30・インテックス大阪)

-「素材市場(名古屋会場)」(7/3~5・ポートメッセなごや)

-「関西高機能フィルム展」、「関西高機能プラスチック展」(10/2~4・インテックス大阪)

 

「イベントJAPAN九州」は、2008年の東京、2012年の北海道に続き、開催される地域展示会。

 

「素材市場」は、金属・プラスチック・セラミックス・複合材料分野の素材を扱う展示会。名古屋と大阪で初開催される。

 

「関西高機能性フィルム展」と「関西高機能性プラスチック展」は、4月に東京で開催されている展示会の大阪版。

 

2013年開催増の要因3

共催による新規展の立ち上げ

 

①のニーズごとに細分化された展示会とも②の首都圏外での地域開催展示会とも異なるタイプの、共催による新規展示会が立ち上がっているのも、近年の傾向と言える。2013年は、以下の2展が挙げられる。

 

 

-「ジャパンアミューズメントエキスポ」(2/15~16・幕張メッセ)

-「HAPPY MAMA FESTA」(3/15~17・ナゴヤドーム)

 

「ジャパンアミューズメントエキスポ」は、これまで「AOUアミューズメントEXPO」を主催する全日本アミューズメント施設営業者協会連合会と、「アミューズメントマシンショー」を主催する日本アミューズメントマシン協会がタッグを組み初開催する展示会。

 

「HAPPY MAMA FESTA」は、実行委員会による主催で、構成団体は中日新聞社、テレビ愛知、ナゴヤドームの3者。“ママの笑顔を増やすプロジェクト”を推進する日本財団と共催し、ママプロジェクト「ママと!」を進めるよしもとクリエイティブ・エージェンシーと企画協力して初開催するママイベントとなっている。

 

出展トレンド予測

 

例年、展示会は1年間に20件前後の割合で新たに誕生しているが、2013年は28件とこれまで以上に多くの新規展が開催される。

 

各新規展示会の名称を斜め読みすると、進化する技術に呼応して、または新たに注目を集める分野にフォーカスしているものなど、業界・時代の旬なキーワードを知ることもできる。

 

また、前文で開催増の特徴として挙げた「細分化」の傾向には、出展者・来場者のニーズの専門性の高さが伺える。数年前までは、○○総合展やコンピュータ展など大きな括りでの単独開催であったものが、××専門展やアプリ開発支援技術展のように明確化され、区分されるようになった。

 

こうした動きは、一つには、参加企業の出展姿勢に変化がでてきているからではないだろうか。業界で会社のブランドをPRするプロモーション型の出展の場合には、その展示会の規模自体の大きさが指標となるが、ビジネス商談型の出展の場合には、商機につながる出会いや実際の商談の数などの質を指標とする。もともと展示会は、事前にターゲットが絞られているメディアとして活用されてきたが、セグメントがより細分化された最近の展示会では、マーケティングツールとしての要求がさらに高まってきているとも言える。

 

今年で3回目を迎える「焼肉ビジネスフェア」は、外食産業のなかでも焼肉業界に特化した専門展示会。出展対象は、食肉、サイドメニュー、アルコール/ソフトドリンク、たれ/調味料、水産物/農産物、デザート/スイーツや、焼肉ロースター/コンロ、店舗設備/ユニフォーム、開業支援/Webサービスなど、食材やメニュー開発関連、繁盛店に繋がるハード・ソフトの提案など、いずれも焼肉店の経営や開業を検討中のオーナーにとって必要な情報がコンパクトにまとまっていた。

 

その出展者に話を聞くと、同展以外も展示会には「ファベックス」や「ホテレス(国際ホテル・レストラン・ショー)」など、いわゆる外食総合展にも参加の予定だという。焼肉業界で長い実績をもつ酒造メーカーの出展者は、「業界が長いからブース来訪者に既存顧客さんも多いのが専門展示会。だからこそ、これまで卸してきたブランドとは違う新規商品や、既存ブランドの新しい飲み方などを提案すると驚きの声を聞くことができます。総合展の場合には、専門展とは違う角度の新規顧客と出会えるのが魅力です」とそれぞれの違いについて、こう話す。また、店舗のPOS関連システムを手がける別の出展者(第1回目から連続出展)は、「焼肉ビジネスフェアの場合は、来場者であるオーナーのもつ店舗が3軒以下のところが多いため新規さまであればスモールスタートでの導入を、既存のお客さまであればシステムの増築を勧めるなどしています。一方、ホテレスの場合には、チェーン店など比較的規模の大きい店舗をもつ来場者が多いので、システム一括をプレゼンテーションするんです」と、提案の方法を変え、展開している。

 

マーケティング戦略では、次の4つの順にむずかしくなると言われるが、自社製品の販売数や自社ブランドの浸透度を把握し、どのターゲットに向けて打って出るのか、展示会の来場者の属性を踏まえ、上手に活用する出展者がふえてきている。

 

1.  既存顧客に既存製品を売る(市場深耕戦略)

2.  既存顧客に新規商品を売る(顧客内シェア拡大)

3.  新規顧客に既存商品を売る(市場拡大)

4.  新規顧客に新規商品を売る(新市場開発・多角化)

 

最近、企業のマーケティングツールとして台頭してきているソーシャルメディアとの相性の良さも指摘されるリアルなコミュニケーション“展示会”。細分化され、選択肢もふえてきたいまこそ、もう一度見直し、積極的に模擬市場で実験してみてはいかがだろうか。

 

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第42回 インターネプコン・ジャパンが開催

「第42回 インターネプコン ジャパン」はアジア最大のエレクトロニクス製造、実装に関する技術展。世界20カ国から1,830社が出展し、エレクトロニクス関連技術者必見の展示会となっている。併催はオートモーティブワールド2013やライティングジャパン2013など。会期は2013年1月16日(水)から1月18日(金)の3日間、会場は東京ビッグサイト。

http://www.nepcon.jp/

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Posted on 2013年1月16日

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座談会「ビジュアル空間をつくるプロフェッショナルのシゴト」その4  ~展示会とMICEアーカイブス~

日本映像機材レンタル協会 & ピーオーピー合同企画

座談会「ビジュアル空間をつくるプロフェッショナルのシゴト」 その4

(『見本市展示会通信』2011年11月15日付号掲載の座談会を再録しました)

震災、若いチカラ…
映像に何ができるか

中田 ここまでみなさまの仕事を取り巻くいろいろなテーマについてお話しいただきましたが、この魅力的なビジュアル演出の世界が、今後どういう変わっていくのか。また、みなさまはどんな役割を果たしていくのか、いきたいのかということをお話しいただきたいと思います。

長崎 地震のあと、ほとんど仕事がない状態のなかで考えたことは、これまでわれわれは、集まった人のためとか、人を集めるための仕掛けづくりを仕事としてきたけど、人を集めなくても情報が伝えられ、人と人が出会えるようなことをつくっていかなければならないのかなと。
それは中継とか、もっと言うとバーチャルな何かかもしれないですし、そんなところにニーズや可能性があるのではないかと考えたんです。そして、そのために 必要なものは、もともと私たち展示会とかビジネス向けの映像っていうのは、全体の市場から見るとニッチな市場だと思うんで、おそらく既製品のなかにはない だろうと。であれば自分たちでプログラムを開発しなければならないですよね。
そういったソフトウエアつくるということに重点を置かなければいけないと考えています。当然、求める人材もそういうことに強い人となりますので、人の選び方も地震の前と後でちょっと変わったと思ってます。

中田 小島さんとマックレイはどういうものを目指しているのでしょうか。

小島  長崎さんがおっしゃる通りで、震災はわれわれに考え方を少し変えさせたなと思います。余談ですけど、テープが手に入らなくなったとか、通信が使えなくなっ たとかいろいろありました。画像データをファイル化したことで、制作フローがまったく変わっていったとか、副産物もありましたが、あの地震が何かを変え たっていうのは確かにあります。
そこで私が考えたことは、自ら業態を変化させることを、少しずつ、しかしいつでもできるような、そういう状態をつくっておきたいなと。だからトライアルは いつもやっておきたい。「もうちょっとウェブのほうに注力していこう」と言えば、すぐにそっちへ傾いて行けるチーム態勢を意識的につくらなければいけない と思っています。
そういう視点からすれば、事業部を越えて目的のために進んでいく部署が、もっとたくさんできるのではないだろうかと。駄目なら止めればよくて、今後必要に なっていくものについてはどんどん伸ばしていければいい。会社としてもそこへの投資は惜しまずやっていこうこと考えてます。

中田 そういう考えって5年前、10年前はなかったものですか。

小島  なかったですね。きょうここでみなさんと話してきたように、世代交代とかいろいろあると思うんですけど、ビジュアルの世界にいろいろな技術革新や変化が あって、それに従って求める必要な人材も変わってきますし、これまでの考え方ややり方では生き残りすらできないと、会社が本気で考えているからです。
それで弊社では部署ごとに、それぞれの部長たちがいろんなことにトライしろと、そういうアクションをどんどん起こしていけという動きになっています。
われわれの世界はこれからもどんどん変化が起きる。だから自分たちで考えて、映像にプラスアルファの技術をぶつけることで、新しいコトを仕掛けたいなと。

中田 大変なことですよね。いつも世の中を見回しながら─

小島 お金の匂いがするところに行かなくちゃいけないですから。

中田 (笑)
博展さんは映像に関わる関わらないに関わらず、今後の方向性っていうのは。

  最近、いくつかの国の大学生と一緒にイベントの仕事をする機会があったんです。そのときに感じたことは、彼ら、彼女たちはいろんなチャレンジをしたいと意 欲的なんですね。映像機器なんかも使ってコトづくりを体感したいと。でも自分たちだけでやろうとすれば、機材一個借りるのも高いんですね、学生からしてみ たら。そこでもっとメーカーやみなさんのような立場の方が彼らをサポートしてくれたらなあと。
海外の大学生は、国やメーカーからの支援を受けて、ビジネスというものを体感してるんです。だから日本の学生たちにも、例えばプロジェクタ1台でも彼らにはとても高価で、使える喜びを感じられるんです。
もしかしたらそこでものすごい何かと出合って、将来イベントやMICEの道を志すかもしれない。その子がお客さんになったり私たちの仲間になったりするか もしれない。日本を代表するような素晴らしいクリエイターやビジネスマンが生まれるかもしれないっていう可能性を想像すると、こうした裾野に投資するこ とって、とても価値のあることだと思ったんです。ちょっと生意気なことなんですけど、映像という仕事を通して感じたことですね。

本物が持つオーラを
たくさん見てほしい

中田 長崎さん、いかがでしょうか、いまの話。

長崎  正しくそうだと思います。われわれも、学生に安い値段でプロジェクタを提供して使ってもらうという支援をしたことがあります。で、彼らの現場に行くと、 小っちゃなプロジェクタを5、6台使って、見た目すごくおもしろいことしてるんですよ。予算がない分、普段使えなかった分、アイデアだけで勝負してるんで すよね。

中田 そうなるんでしょうね。

長崎 そうなるんです。そういう経験を通して、将来有望なクリエイターが育っていくんだろうなと。われわれみたいな立場の者がそういった支援をすれば、鷲さんがおっしゃる通り、業界の将来も明るい方向に変わっていくと思いますね。
ほんとに勉強になりますよ。こんなアイデアでこんな使い方するんだって。ウチのスタッフが見たら「これじゃプロジェクタ潰れるよ」とか言ってましたけど(笑)。それでもいいんですよ、おもしろければ。

中田 やりたいことができるのも学生のうち、なんて言うと意地悪ですが、自由な発想は大切に育てたいですよね。

小島  そう、われわれイベント屋の醍醐味としては「どうしてこういう演出をしたの?」って聞かれたら「やりたかったから」としか答えようがないときもあるんです よ。その間にいろんな情報を自分で処理して、カネのこととかも計算してるんだろうけど、感性のままに説明できないことをやってしまうこともある。でも、そ れがお客さんのニーズとも演出家の意向とも合致していれば、やりたかったことも実現するよってことになる。

中田 戸村さん、「よくわかる」といった感じですね。

戸村  やっぱり学生とプロってそこが大きく違うじゃないですか。やりたいことだけ好きにやるんだったら、それはアーティスト。われわれはクリエイターではあって もアーティストではないので。いいものにするための折り合いを見つけることも、映像屋の資質だと思います。これを妥協とは言わない。これができるのがプロ なんだろうなと。
こういうプロの資質が備わっている人でないと、先ほどの小島さんの話のように「やりたかったから」とは答えられないですよ。われわれは、そういう人材を育 てなければいけないのですが、ひとつ大切だと思うことは、プロの映像屋には、いろいろな世界の本質的にいいモノを見てほしいと。これまでにないものを求め たり、とんがったものを要求するってことは、一見、常識はずれなところに行きがちなんですけど、本物が放つオーラを知っていれば、ブレることってないと思 うんです。本物をわかってるから非常識なことができるがわけであって、そこすごく重要だと思います。私最近、そういうこと言ってるな、スタッフに(笑)。

中田 貴重なお話しをたくさん聞かせていただきました。みなさん、ありがとうございます
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その1  ビジュアルの比重増す展示会での空間づくり
その2  リアルとバーチャルいかに使いこなすか / 機材の進化が生む新しい映像の世界
その3  業種を超えた交流で互いをスキルアップ / 現場に立ちはだかる様々な規制の厳しさ

座談会「ビジュアル空間をつくるプロフェッショナルのシゴト」その3  ~展示会とMICEアーカイブスPart1~

日本映像機材レンタル協会 & ピーオーピー合同企画

座談会「ビジュアル空間をつくるプロフェッショナルのシゴト」 その3

(『見本市展示会通信』2011年11月15日付号掲載の座談会を再録いたしました)

業種を超えた交流で
互いをスキルアップ

中田 いろいろな道具の話が出てきましたけど、ディスプレイ会社として、そういった知識とか普段からの接し方ってどのように取り組まれていますか。

 今日はせっかくこういう機会をいただいたので、うちのプランナーやデザイナーに、どんなことを聞きたいか取材してみたんです。
共通して出てきたことは、最新の映像機器やそのノウハウに接する機会が欲しいということでした。
やっぱり、どんな表現をするか考えることと両輪で、ハードウェアの知識などもわかっていないと、どこまでチャレンジできるかが見えてこないので。そんなと き、プライベートショーなどでみなさんとのコミュニケーションが図れるような機会がもっとあれば、という希望が多くて。行きたかったけど結局行けなかった とか、忙しがって言い訳するこちらにも問題もあるのですが。

中田 プライベートショーは、こちらの3 社 も時々やっていますが、業界全体としてはそれほど多くないような気がします。光和さんが毎年1月にやっているプライベートショーは、業界展と呼べるくらい メーカーの側も力を入れていて、たくさんの機材が展示されています。小島さんの会社も今年5月に内覧会を開催しましたよね。

小島  グループの設立30周年を記念したイベントだったのですが、何を大事にしたかというと、モノを見せるのではなく、「ぼくたちはこれを使って何ができるか」 という視点です。みなさん、モノは大体わかると。値段が高いのも知ってる。だけど「これ使ったら何ができるのかを知りたいよね」っていう声に応えることが コンセプトでした。結果として、その部分で高い評価をいただいて、うれしかったですね。

 そうですね、彼らは使い方の提案が見たいんです。

小島  プチプライベートショーみたいなのを各所でできれば。

 そう。ワークショップっていう意見もでました。数人でいいので、会社、業種をまたいで、まさに今 日みたいな機会が頻繁に組めると、互いにいろんな情報が交換できて、それが新しい表現のアイデアやチャレンジにつながる。望めるならそこに、展示会なら出 展企業の担当者さんも一緒に話ができたらいいなと思いました。やっぱりエンドユーザーが興味をもつと、ビジネスの話も早いですから。

中田  JVR協会では、毎年7月に「業務担当責任者会議」という現場の人たちの交流会を開催しています。毎年取材させていただいてますが、ヨコのつながりがしっ かりしている業界だとつくづく感じます。あのような場を、業種を超えてつくることができれば、成果は大きいでしょうね。

 特に映像機材では、日本のメーカーは世界の最先端にあるのだと思いますが、もしかしたら表現の方法だったりクリエイティブの部分というのは、果たして本当に世界最先端かというと、遅れているかもしれない。
そこで、空間、映像、ハードなど、それぞれのスペシャリストの経験やスキルが融合することで、新しいウィットな表現が生まれるのだとすれば、やはり職種、業種をまたいだコミュニケーションをもっと活性化させる必要があると感じます。

中田 情報交換以上の、それぞれのスキルアップにもつながる場にしたいですね。

長崎  海外アーティストのライブステージには、照明と映像を一人でこなすオペレーターがいます。日本は映像、照明それぞれがプランを出して、それをディレクター というか演出家が真ん中でまとめるというのが普通です。これを一人でこなすのですからすごいことですが、つまりそれを技術的に可能とする機材もソフトもあ るわけで、いずれ日本もそうなるはずです。
ただ、概して映像のオペレーターは、昔は信号をきちんと出す技術というか、電気的な理解のなかで仕事をしていました。照明はどちらかというとアートの世界 ですので、いかに雰囲気を表現するかというセンスが大切です。私からすれば違う資質に思えるので、このスキルを両方兼ね備えるというのは、かなり難しい気 がします。

 もともとクラブシーンでVJ(ビデオジョッキー)をやってた人たちが、照明と映像を ミッ クスして、リアルタイムで現場で仕上げるということをやってきたんですね。こういう、ミックスダウンができる感覚をたまたま持ってたのが、90年代以降、 日本ではずっと廃れてたVJの人たちなんですよね。ようやく時代が変わってきて、その感覚をもうちょっとビジネスのレベルまで引き上げられれば、イベント の世界も変わるかもしれませんね。
長崎 おっしゃる通りで。奈良のビームペインティングを仕切ったのは元VJのスタッフなんですよ。

中田 小島さんが取り組まれているのも、こういうことなのでしょうか。

小島  そうですね。クリエイターとかデザイナー的な発想を一人のオペレーターが身につけるのは難しいですから、いろんな業者が合わさってイベントをつくっている のが日本の現状だと思います。それを私は社内のスタッフでつくろうとしていて、だいぶなんとかできるようになりました。ただ、それもいずれ通り一辺倒とい うか変化がなくなってきてしまうので、そこは新しいスタッフを入れて、常に進化させないと伸びないと思っています。

現場に立ちはだかる
様々な規制の厳しさ

中田 次に業界というか、みなさまが仕事をするうえで感じている問題点、改善したい点というのは。

  日本の展示会場、街もそうなんですけど、明るすぎるんですよね。そのためにプロジェクタの輝度を上げて予算が足りなくなるとか、クライアントとやりたいと 思っていたことが、とても中途半端に終わってしまうことがあります。プロジェクションマッピングも明るいと天井を建てなければならなくて、消防法だの予算 だので諦めざるを得ないということがたくさんあります。

戸村 会場明りが暗い状態での表現っていうのも、展示会の中に取り入れたいですよね。確かに日本の展示会は、明るい環境で見せる手法ばかりですね。ビジュアルがキレイとか深みがあるとか、そういう見せ方でブースの訴求力を上げることもできるはずです。

  「東京ゲームショウ」や「Inter BEE」など、照明を落とした展示会もありますが、映画館とかポスプロのスタジオに入ったときのようなジトッとした暗さが、ちょっとワクワク感を演出して ますよね。主催者は演出という部分にもっとこだわって、「展示会って本当に効果あるの?」って言われがちな状況に一石を投じてみてはと思いますね。

中田 全体的な統一感っていうのは主催者の裁量で、もっと演出できる余地があるのかもしれないですね。

 規制が厳しいのもなんとかならないですかね。またマッピングの話ですが、条例だとか申請だとか、クリアしなければいけない問題がたくさんあって、結局許可が下りずにできないことが多いです。

中田 長崎さん、先ほどの「ならファンタージア」はかなり大がかりなイベントだったので、開催までにはいろいろな面倒なことがあったのではないですか。

長崎 あれは、街中や公道から外れた敷地内ですから、周りの照明も落としていいってことだったので、わりと自由にやらせていただきました。でも何がこれほど味方したかというと、主催が県だったということではないかと。

中田 ああ、行政が動いてくれれば警察も消防も話が早いんでしょうね。こうなるとマッピングの成功の鍵は政治力ですか(笑)。

長崎 これは恵まれた事例です。これが街中のビルだったりすると、ある程度話が進んで予算も下りて、いろんな手続きをクリアしていても、最後に警察の許可が下りなかったとかで頓挫してしまった案件はいくつもあります。

中田 実施できただけでも恵まれてるということなんですね。

長崎 そうです。

中田 小島さんも、そういう現場を。

小島  テーマパークの中でのマッピングは、やはりスムーズに進行しましたよ。でもビルでやったときは、できるにはできたけど、周りの照明は一切何もしてくれませ んでしたね(笑)。だから、ものすごい明るいプロジェクタをもっていくしかない。で、それがコストに跳ね返ってしまいますから、クライアントには申し訳な かったですよね。

中田 結局コストに跳ね返ってしまうんですね。戸村さんもそういうご経験は結構・・・

戸村 LEDディスプレイを街頭で使うイベントで、警察から「信号と間違えるドライバーがいるから輝度を落とせ」と。

中田 ・・・説得する気も失せてしまいますね。

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その4  震災、若いチカラ…映像に何ができるか / 本物が持つオーラをたくさん見てほしい

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その1  ビジュアルの比重増す展示会での空間づくり
その2  リアルとバーチャルいかに使いこなすか / 機材の進化が生む新しい映像の世界